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第1回 WEB制作●佐佐木渡氏 

三宅:
わたさん。今日はお時間を作っていただきありがとうございます。ネットで知り合ってからもうかれこれ10年以上はたちますでしょうか。とてもご多忙のようですね。

佐佐木:
えぇ、10年たちますね。ここんところ忙しいんです。全然儲からないんですけれどね。

三宅:
あ、それは同じです(笑)えっと今日の趣旨はですね、わたさんに作っていただいたこのサイトの中身を少し入れ替えたいと思ったのが発端です。クロスポイントっていう題名、つまり交差点ってことなんですけれど。人と人、情報や意見、アイデアのようなものがわーっと集まったようなコンテンツをつくろう、と。これからいろんな方に声をかけさせていただいて、対談というかそんなページを作りたいんです。

佐佐木:
えぇ、おもしろい企画やなぁと思いましたよ。僕もそういう発想をもたなあかんなぁと思いました。

三宅:
私が自分でホームページを作ったのが2002年なんですけれど。だんだんと限界を感じて、もうプロに作ってもらおう!と、それが2年前でしたね。jayblueのサイトは、見やすいと評判もいただいてますし、なにより私自身も更新がしやすくて使い勝手がいいんです。

佐佐木:
ありがとうございます。

三宅:
仕事の窓口をつくってくれたわたさんが、やはりこの企画の第1回のゲストにふさわしいと思いましてこうしてお呼びたてしました。

佐佐木:
いや~、ありがたいです。

三宅:
ですので今日はあれを聞こうこれを聞こうってね、インタビュー内容を練りに練っていろいろ考えてきました!と言いたいところですが、実はノープランです。何も考えてません。

佐佐木:
わぁ!ノープランですか~(笑)じゃ、流れに身を任せてというやつですね。

三宅:
はい、そんな感じで(笑)ところで私が自己紹介をするときインテリアコーディネーターですって名乗るんですけれど、わたさんは、初対面の方にはなんておっしゃっているんですか?

佐佐木:
WEB制作者、ですね。ホームページづくりやってます~って言います。ホームページってだいたい誰でも知ってるし、ちょっと商売やってはるような人は自分のサイトをもってはりますから、まぁ、関心はもってくれます。

三宅:
なるほど。わたさんは、インテリアコーディネーターの資格をお持ちで、設計事務所でのご経験もある。もっとさかのぼればもともとは機械設計のご出身でしたね。なんとなくスタートは同じような位置にいたように私は思っているのですけれど、気が付けばわたさんはすっかりWEBの世界の人ですね。

佐佐木:
そうですね、インテリアや建築からはすっかり離れました。ノータッチです。でもインテリアをやっていた時代のつながりと人脈は活きていて、仕事につながっていますよ。

三宅:
そのようですね。

佐佐木:
それにしてもりかさんは・・・やってることは稀有な存在かもしれないけれどインテリアコーディネーターという意味では王道を進んでますよね。

三宅:
え、王道を進んでいますか!?自分では「王道感」が全くないんですけれど(笑)

佐佐木:
お客さんと会って要望を聞いて、プランを出して、設計してとか、インテリアの素敵な世界を提案して工事とか納品の手配をして、最後まで立ち会って、それで報酬を得ている。「インテリアコーディネーターの仕事とは」っていう教科書にでてくるようなすごい王道だと思いますよ。

三宅:
そういわれれば・・・・・・そうかもしれません。

佐佐木:
結局ね、インテリアコーディネーターって資格を持っている人数のわりに、この業界は実際はそうじゃないんだろうってことです。ふつうはりかさんみたいな仕事がしたいのにでもそれが出来ないから、いろいろなところに属してみたりとか、なんだろうと思いますけど。こないだりかさんがご自分のことを業界マイノリティなんて言ってましたけれど、僕こそが本当にマイノリティですよ。僕はいまだにWEB屋としての自分の立ち位置がわからない(笑)

三宅:
立ち位置で思い出しましたが、わたさんは最近、何かパネラーみたいなことをなさいましたね。

佐佐木:
あれは僕が所属している団体、「インテリアコーディネーター協会関西」の記念イベントだったんです。インテリアの仕事はもうしていませんけれど、協会には所属しているので役員とかも回ってきたりしましてね、僕が言いだしっぺでなんだかいろいろやるはめにはりました。

三宅:
どんなことをされたんでしょうか。

佐佐木:
コミュニティと住宅、というテーマでイベントの計画がありました。イベントそのものは協会のメンバーみんなで分担して準備を進めたんですが、パネルディスカッションの部分については資料集めから段取り調整から司会進行から全部お膳立てして僕がやりました。建築家の先生と、インテリアコーディネーター、それから不動産ディレクターという3者をセッティングして、シェアハウス(※)なんかの話題を軸にしてトークショーというかパネルディスカッションをやったんです。関東のほうではシェアハウスが流行っているみたいですけれど、こっちの関西ではまだあんまり浸透していない。そういうのも広げていきたいと思いましたしね。僕はもうWEB屋ですから直接の仕事には関係ないのですけれど(笑)

三宅:
シェアハウスの恋人、というドラマもそういえばやっていましたね。

佐佐木:
シェアハウスというのはインテリアの話でもあるんだけれど、実はインテリアコーディネーターで仕事としてからんでいる人がいるかというと、非常に少ない。
じゃぁ中のデザインは誰がやっているのかというと、不動産の人だったり、建築家だったり。あるいはインテリアデザイナーだったり。

三宅:
確かにそうかもしれません。

佐佐木:
建築家も、不動産ディレクターも、インテリアコーディネーターも、みんな建築物という同じものに関わっているのに、全然関わり合いを持っていなくて、同じ対象物に対して、普段は全く違う情報ソースのところにいる。フィールドが違う。それが現状なんです。そういう異業種のつながりというのをテーマにもしたかった。      シェアハウスというのは具体的な例として今回選んだわけだけれども、シェアオフィス(※)、コワーキング(※)にしてもそうで、最終目的は、違う人が集まることによって生み出される成果。新しい価値観とかね。そういうものです。

三宅:
シェアハウスに設計段階からかかわるのか、あるいは販売の段階で関わるのか。それとも住み手からの依頼で関わるのか、インテリアコーディネーターでもいろんなアプローチが出来そうですが。

佐佐木:
シェアハウスというのは、結局、誰がお客さんかというと、オーナーさんであることが多い。そこに住む人ではなくて、その建物を所有している人。

三宅:
そうですね。実住じゃなくて投資用、ということですね。

佐々木:
えぇ。だからキッチンの使い勝手はこうですよ、あぁですよ、っていうようなアプローチはウケが悪いし、あんまり意味もない。建物とか室内の見栄えのインパクトと、家賃をあげることが出来る付加価値がつけられるか否かのアプローチが重要なんです。住まい手に対してしか提案をしたことがないインテリアコーディネーターと、オーナー向けの提案をやったことがあるコーディネーターとでは、あがってくるプランが全然違う。

三宅:
シェアハウスについての業界や現状や周辺知識について、ずいぶんお調べになったんでしょうね。

佐佐木:
準備期間は半年やったんですが、まったく知識がないところからのスタートでしたし、だれも助けてくれなかったので、すごく孤独でしんどかった時期もありました。でもね、ゼロから何かを作ることはできないけれど、僕の強みは、常に問題意識をもっているということです。このイベントもまさにそうですが、こういうふうにしたらどうやろ、世の中こんな感じになるんとちゃうかなぁ、あんなんしたらええんとちゃうかなって、問題意識をもっていろんなとこから拾い上げてテーマを見つけて、新しいことを企画するのは好きなんです。あいつにまかせたらなにかやってくれるんとちゃうかなって思えてもらえて、だからリーダーのタイプではないんだけれど、切り込み隊長は命じられる。僕はコピー機の会社にいたんですけど、プロジェクトをくんでチームでつながって何かを成し遂げる成功体験もある。

三宅:
もともと、そういうお勤めをされていたからでしょうか?わたさんは、なんとなく、サラリーマンっぽい、ですよね、雰囲気は。

佐佐木:
よく言われます(笑)いかにもデザイナーやなぁ、髪をキュっとやって、個性的な服着てな。こう、シャラシャラと歩いている。芸大系とか・・・・僕はそうじゃない。だけど、「自由人」だと思っている。

三宅:
自由人。

佐佐木:
そう、自由人(笑)柳宗理(※)みたいな70になってもデザインやってるみたいなのがね。できればそういう感じにいけたら楽しいやろなぁって思いますよ。現場には関わりながらっていうのがね。先生、先生言われるようなた立場には、なるべくしたくないなぁと(笑)

三宅:
それで、そのイベントはどうだったんでしょうか。

佐佐木:
あれはね、成功しまして、僕の中でも一つの達成感というか手ごたえを感じました。いろいろな発信もできたと思うし、実際に、参加した建築家の先生やコーディネーター同士のつながりもできた。それはこのイベントの大きな成果の一つやったんやと思います。異業種のつながり、というのはテーマの一つでもあったから。

三宅:
このページの趣旨も、まさに、いろんな人とのつながり、をテーマに作っていきたかったので、ちょうどよいお話がきけました!つながりといえばですね、私はどこの協会にも属してない、というのも関係していると思うのですが、同業者、つまりインテリアコーディネーターとのつながりがほとんどないんです。お友達で数人いるぐらい。

佐佐木: 
WEBの世界も同じですよ。人間関係が広がらないですね。自分が避けているからなのかもしれませんけど。

三宅:
そうなんですか。

佐佐木:
同業者ができることは、自分にもできるんですよ。それはたぶん自分の中にあるもんだと思っている。だからね、同業者とは既存の仕事を協力してクリアしていくという面では必要だけれど、新しい仕事には発展しにくい。未知なるものというか、専門性の違う異業種とつながってこそ、前進する新しい価値がうまれるんやと思います。

三宅:
確かに私もそうですね。大工さん、電気屋さん、内装屋さん・・・って、自分とは違う専門性をもつ異業種のつながりに助けられます。

佐佐木:
10年前に種まいた人間関係が、今になって実になってきていると、最近すごく感じるんです。つながっている。そして、世の中って人とうまくつながって連携できた人が成功する。人と会わないでできるような仕事なんてどこにもないと思いますよ。

三宅:
電話やメールではない、会う、というのはとても重要ですね。今日も神戸まで来てよかった・・・(笑)

佐佐木:
具体的に行動して、誰に会いに行くのか、それがとても重要なんやと思いますよ。何がしたいか、は実はその次の段階の話。実は僕は正直やりたいことなんてないですもん(笑)

三宅:
何がやりたいかを探すのではなくて、まずは人に会うほうが先?

佐佐木:
そうです。やりたいことがあって、それに関係しそうな人を探すのではなくて。誰かとの出会いがあってから、その人の抱えている課題に触れたときに問題意識が芽生えて、じゃぁ何をしようかっていう行動につながるんやと思う。まずは行動して誰かとつながる機会をなるべく増やす。僕の今年の課題は「行動」なんです。

三宅:
じゃぁ私は今年の目標は「つながり」にしようと思います。

佐佐木:
それ・・・僕にとっては去年の目標ですよ。

三宅:
ていうか、今年ってもう半年終わっちゃってますね、今更でしょうか。

佐佐木:
うーん(苦笑)

※シェアハウス・・・・ひとつの住居を、家族や恋愛関係にない他人同士が複数人で共有すること。
※シェアオフィス・・・一つのスペースを複数で、「デスクと時間」を分けあって使用する形態。
※コワーキング・・・事務所や打ち合わせスペースなどを共有しながら独立した仕事を行うワークスタイル。
※柳宗理・・・日本のプロダクトデザイナー

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佐佐木渡氏  
クリエーションオフィス春夏秋冬 代表
 WEB制作者

独創性があり斬新で芸術的なものを提供するというように
ゼロから何かを作ることはできない。
けれど、
問題意識は常に持っている。
自分の能力を使って、お客さんの持つ課題を「解決」したい。

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<編集後記>
お屋敷がいっぱいある神戸・芦屋の一角にある「神戸屋レストラン」
パンの焼けたいい香りが店じゅうに広がっていました。
書きたいけれど書けないオフレコなお話や、プライベートな話、バイクの話など
いろいろお話いただいて気が付けば6時間も滞在してしまいました!

おだやかな語り口調で控えめに話すわたさんは、「調整」の人だと思いました。
ゼロからものを作り出すクリエーターではない。
この世の中にすでに存在しているものにスポットライトをあて、
存在と存在を引き合わせたり、あるいは組み替えて改善してアレンジして、より良い価値を提案していく。
わたさんも、また、私と同じ「コーディネーター」なんだなぁと思いました。

2013.6 芦屋「神戸屋レストラン」にて

 

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