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第6回 トークセッション「僕らの時代」●荒井詩万×越川洋平×三宅利佳+福澤涼

僕らの時代

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JAPAN DECO ON2016の会場にてトークセッションが行われました。
荒井詩万(IC)、越川洋平(カーテン屋オーナー)、三宅利佳(IC)という3人に、ナビゲーターとして福澤涼が加わり、 語られた約40分間の内容です。
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越川:インテリアの10年前と今、そして10年後、どんな感じだろうなんてことをシャンパン飲みながら語っていこうと思うんだけれど。

福澤:10年前って何があったかっていうと、IKEAの1号店出店っていうそのあたり。そんなに古い話ではないんだけれど、え、でももう10年たってたのか、そんなふうに感じる時代、です。

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ぼくらの時代

荒井:10年前の施工事例写真をみんなで持ち寄ってみたのよね、で、どうでしょう。一番左の画像はどなたの。

越川:はい。これは僕の10年前。見ての通りなんですが。

三宅:ザ・北欧~!

越川:ちょうどこの頃、北欧ブランドのプリントなんかが日本に入ってきて、アクタスとかが前面に出してて、凄いブームになりはじめたんだよね。実際、もの凄い売れた。だから10年前らしい画像といえば、これなのかな?

荒井:うん。っぽいですね!

越川:ミニマルモダンも全盛だから、ハトメを使ったりしながらそっちに寄せてみたり、象徴的な写真です。

福澤:真ん中の画像、これは。

三宅:はい、これは私の10年前です。

荒井:うん、シンプルモダンも流行ったわよね。

三宅:カンティレバーの椅子とか、もろですよね。

越川:はい、はい、マルトスタム系ね!

三宅:そう(笑)あの頃って例えば床のフローリングが白くてドアが濃い茶色とか、メリハリきかせた内装なんかが増えてきていてよくお客様に白い床に合わせたほうがいいですか、それとも濃い茶色に合わせたほうが良いのでしょうか、家具をどう選んだらいいかわかりません、なんてしょっちゅう質問されましたよ。

越川:かっちりとわかりやすくひとつのスタイルにきれいにまとめる。この時代の特徴だよね。今はミックス感を求められるけど。あの頃は北欧なら北欧、モダンならモダンだった。

荒井:そうね!スタイルとしてまとめていたわね。私はミニマルとかモダンとかが多かった。一番右の、この10年前の私の画像もモダン。

越川:これさ、今見てもかっこいい部屋だなぁ、さすが~。

荒井:例えばデザイナーズチェア。これもコルビュジェのスリングチェアですが、デザイナーズチェアも流行ったわよね。直線ラインにスチール脚、まさに王道のモダンスタイル。

三宅:あとなに、この濃い茶色の家具ね、ダークブラウンじゃなくて・・・。

越川:ヴェンゲ色っていう。

三宅:ヴェンゲ色っていう言い方。ウに点々きた!って思いましたもん(笑)

福澤:僕は10年前何をしていたかというと、壁紙をはる職人さんをやってましてひたすらハウスメーカーさんの現場で、量産と呼ばれるいわゆる白いビニールクロスを来る日も来る日も貼ってたの。だから10年前の写真はないんですよ。

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三宅:では、いま。あれから10年たちまして今の気分のインテリアってどんな感じだろうっていう話をしましょうか。こちらの施工写真はどなたのでしょう。

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荒井:これは私の画像です。

三宅:うわ、かっこいい。詩万さんってどんなスタイルのコーディネートでもすべてドレスアップさせますよね。

越川:めちゃめちゃ今だね。マンハッタンスタイル。

荒井:お客様はアメリカ生活のご経験のあるご夫婦。ベイサイドの高層マンションからの景色がまるでNYマンハッタンのようなので、コンセプトは「マンハッタンライク」。 モダン・エレガント・コロニアルのミックス、このエクレクティックが今だなぁと。

越川:まさに!今って、エクレクティック、ほんとにね。

荒井:テーブルはモダンだけど脚がターンドレッグ、いわゆるろくろ脚でエレガントに。これ、イメージする既製品がなくてオリジナルデザインでオーダー製作したの。

三宅:詩万さんのこだわりがすごくって、製作家具屋さんがとっても苦労したという話をちらりと聞きましたがこれがそれですね。

荒井:あとはクッションもエスニックなエリティスのゼブラ柄・オールドキリム、エレガントなレースとやっぱりミックスしています。

福澤:次の画像、行きましょう。

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越川:僕はカーテン屋さんなので、カーテンに特化した画像で持ってきました。

三宅:これもまたまたかっこいい。

越川:今の気分ってこんな感じなのかな?アシンメトリーとかパターンonパターンとかも良くやるし好きなんだけど、今はこんな感じのスッキリしたラグジュアリーも良いかな?って。
2年前のハイムのトレンドにあった、「EXALT PURITY(エグゾルト ピュリティー)」というのにインスピレーションを受けていて、「革っぽい物をラグジュアリーに使う」という発想がスタートなんです。

荒井:ラグジュアリー感って、いま、あるわよね~。

越川:で、奥のバランス。

三宅:あやとりみたい!これ素敵!

荒井:あ、あ、あやとり?ビヨンビヨンって?

越川:あやとりじゃなくて~(笑)奥のバランスは、革→馬具→手綱という風に発想を巡らせてデザインしました。中央のオーナメント調の形は、馬具→フェラーリという発想で、フェラーリのエンブレムを模してみたのだけど、これが意外にご主人に好評で大成功、という例です。

三宅:エンブレムの形ね、なるほど!で、もちろんフェラーリに許可は。

越川:とってません(笑)

福澤:インテリアの仕事って、お金は旦那が出すけれど決定権は奥さんにあるってことが多いでしょ。こうやって、スポンサーの旦那の心もつかむっていうのがね、越川さんですよね。

荒井:それ、大事よ。         

福澤:次いきましょうか。

(画像をクリック・・・あ、説明はもういいですか)

ぼくらの時代   

三宅:これは厳密にいうと施工事例ではなくて自宅なのです。今の気分を表す写真をと言われて、自宅が一番表現しやすいかと思って持ってきました。

越川:このラグ。ジオメトリック柄はまさにいまのトレンドだね。

三宅:いま個人的マイブームとしてベルベット素材がきてるんです。カーテンの頭のところに最近フラットバランスをつけたんですが、これ、ヌーディなピンクとグレーなんかの無地のベルベッドをつなぎ合わせたもの。

越川:あ、ストライプの柄じゃなくて、縫い合わせたものなんだ。

三宅:そうです、で、これもベルベットの素材。それから、色でいうとバーミリオン、朱色ね、そんなのが今の気分なので、カーテンやクッションに取り入れています。

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荒井:クッションとかこの柄、ちょっと民芸チック?よね?

三宅:正解。民芸もちょっとマイブームですですです(笑)この部屋ね、スタルクの照明ミスKがあったり、白い革のソファだったりっていう、ひとつひとつのアイテムは決して今を表さないトレンドを外れたものばかりなんだけれど、インテリアって生活の積み重ねでしょ。そういう過去も引きづりながらのっていうのが、ある意味いちばん今っぽいインテリアと言えるような気がしまして。

越川:それ!そのミックス感ていうのがまさに今なんですよ!これもめちゃめちゃ今っぽいインテリアですよ。

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福澤:これは僕の今の施工事例写真です。

荒井:ハーレクイーン?

福澤:そう、真ん中のシェードのファブリックはハーレクイーンの人気柄のポッド。で、あとはウィリアムモリスとか。

三宅:柄に柄を合わせるという提案、昔はなかなか受け入れられなかったけど今はだいぶ抵抗がなくなってきましたよね。

越川:これさ、壁紙もモリスでカーテンもモリスなんでしょ?すげーな。ふつうは違う柄を組み合わせてくると思うけれど、あえて全く同じ柄をぶつけてきた。

福澤:お客様は「北欧ぽい感じにしたい」とおっしゃったんですけど、窓から見えるお庭の木々は今風の洋風な感じでアイアンのアーチなんかあったり、お持ちの家具は和っぽかったんですね。で、照明はアイアンだったり、いろいろ混ざってた」

荒井:北欧じゃなくて、北欧ぽい感じにしたかったんですね。ぽいが重要。

僕らの時代

福澤:そう、ぽい感じです(笑)だから、和にも洋にも合わせながら、北欧っぽさも出してあげて、お持ちのソファーのブルーで統一感を出そうというコンセプトです。ウィリアムモリスのローズヒップ柄でお庭の木々からの繋がりをイメージして、アクセントに三連シェードの真ん中で北欧っぽさを足したんです、これ。

荒井:お庭などの外と、中のインテリアをつなげるというのもコーディネートに必要な視点よね。

越川:涼さんの今の気分なインテリアっていうとこんな感じなんだね。

福澤:そう、けっこうあっさりな気分で。

越川:あっさり?いやこれけっこうコッテリに見えますけど(笑)いつもより抑えたほうなんだね。

三宅:いまは、塩系男子、塩系インテリアとかいってあっさりしたものが流行っているから(笑)

荒井:10年前はかっちりこだわったスタイルで、今はいろんな要素をミックスさせて時代感を表しているといえるわよね。

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福澤:じゃ、10年後。東京オリンピックももう終わってます。

越川:ここにいる4人はほぼ同世代でいま40代。10年後、50代。

荒井:どうですか、10年後。

福澤:掃除ロボットのルンバが発売されたのって2002年らしいんだけれど、あぁいうものの登場によって家具のデザインが影響を受けたりする。ルンバが通れるようってソファの脚が高くなったりとかね。そういう家電とか技術の進歩にもインテリアって影響されていくと思うんですよ。

三宅:ITとか人工知能とか技術が発達して、もう内装材なんて概念はなくなって例えばすべて壁はプロジェクションマッピングじゃないけれど映像で構成されるっていうSF的な空間はどうでしょう(笑)

越川:10年でそれはないよ!

三宅:10年じゃ違うけどじゃぁ100年後そうなるかっていったらならないと私は思う。手に触れる素材感、肌ざわり、そういう質感を人間は絶対に求めるはずだと思うから、そう考えるとインテリアの10年後なんてそんなに変わらないのかなぁとか。

越川:あと経済的な背景は切り離せないな〜って。 白い壁から離れる風潮も、白い壁でかっこいいモダンな部屋って、結局広い箱が有利で、金持ちが有利。だから違う楽しさに走るっていう側面もある。そうなると、センスが問われるから、プロのコーディネートが益々必要だし、まとめるだけなら、出来る素人がどんどん増えるし。 っていう過渡期なのかな?今は。 インテリアデザインが、ファッションだったり、セラピーだったり、そういう多様化もあるし。

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三宅:私は普段個人邸のコーディネートをしていて主に30代40代のお客様が多いんだけれど、10年後ってきかれたら同じように30代40代のインテリアをやっているかっていったらそうじゃなくて、たぶん、お客様も40代50代になっているんだろうって思ってる。共に歩むというか。

越川:それ全く同感!共に歩むで思い出したけれど、昔、島田紳助さんがテレビで言っていた事が忘れられないんだけど、「同世代にうけ続ける芸人が一番強い。で、そのファンと一緒に自分も成長して行って、ずっと同世代にうけ続ける。そうすると下の世代にも憧れられるし、それが理想だよ。」って。これ、ボクらの仕事も同じだよな~って感銘を受けて、それ以来実はずっと肝に銘じている事なんですよ。

荒井:50歳60歳になっても20代30代のお客さまからご依頼をいただけるICっていうのも私はかっこいいと思うなぁ。歳をとっても下の世代から憧れられる存在になりたいと思うわ。

三宅:詩万さんは10年後、町田ひろ子アカデミーを乗っ取って、荒井詩万アカデミーやってると思う。

荒井:りかさん、いつもそれ言うよね(笑)

僕らの時代

三宅:例えばすごい著名なインテリアデザイナーがいて、すごい空間つくって、すごいなーって、それでまた次のお客さんにつながるとか、今はそうじゃない時代だろうし10年後はなおさらだと思うんですよ。おしゃれな部屋に住んでいるモデルさんとかが、SNSで画像アップしてカリスマになったりして、だれだれさんのようなインテリアにしたい~ってみんなが憧れて、っていう。

荒井:確かにいまインスタグラムとか見るとすごいわよね。

三宅:もうインテリアコーディネーターだろうが主婦だろうがお手本にされるのはプロアマ関係なくなってきて。ライフスタイルすべてひっくるめて憧れてもらえるICじゃないと10年後なんか残れないだろうと思ってます。

荒井:そう思う!今、衣・食・住全てのライフスタイルショップが続々とオープンしているよね。ICもインテリアだけでなく今後さらにライフスタイルの提案が求められていく。なので、私達自身のライフスタイル、そして生き方に憧れたり共感してもらえることが大切になっていく気がする。

越川:そうそう、技術も自分の見せ方も、いろいろな意味で成長し続けなければすぐに通用しなくなっちゃうよね。自分が10年後、何やっているか?か~。全然わからない。というか、わからないから面白いと思っていて、だから何も背負わずに1人で仕事してるというのもあるんです。たぶん今の仕事を続けていると思うけど、もしかしたらラーメン屋をやっている、って言うのもアリな位(笑)

僕らの時代

三宅:私は同じように個人邸をやってて、病気とか死んじゃってたら別ですが、生きてたら絶対このままインテリアコーディネーターやってます。断言します(笑)詩万さんは10年後どうでしょう?

荒井:そうだなぁ。今ね、日々ワクワクしながら仕事してるんだけど、このワクワクがなくなったらこの仕事スッパリ辞めてるかも(笑)

三宅:辞めちゃうという選択肢もあるのね。その潔さも含めての詩万さんなのかもね~。

荒井:福澤さんはどうでしょう10年後。

福澤:10年後っていうかね、いや僕、つい先日香港に行ってたんですが、香港のインテリアってすごくて、日本ってもう全然遅れてる感じでダメなんですよ。

三宅:だめというのは?デザインが?コーディネーションが?それとも業界の活性度という意味で?

福澤:いやもう全部(笑)というかね、日本もだけど、世界共通で今は香港もモダンがベースになっているんだけど、香港って中国でその前イギリスの植民地で、っていう自国の歴史と伝統が継続されて、モダンの中に自国のトラディッショナルな部分を取り入れたインテリアが成り立っているの。そこにヨーロッパの特にイギリスのインテリアも上手に取り入れられてて。日本てさ、日本の文化がインテリアにちゃんと活かされていないような気がして。

三宅:畳とか障子とか床座とか、そういう話?

福澤:まぁひっくるめてなんだけれど、だからこの先のインテリアって日本はもっと日本の文化を意識したものへと変化していかないとって思うんだよね。ってこれ、10年後の自分はって話ではないけれど。そういう方向に向かいたいなっていうのはある。

越川:話が終わらないね!

荒井:そろそろお開きの時間だそうですよ。40分じゃ短いわね!

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僕らの時代

荒井詩万  (アライシマ)荒井
CHIC INTERIOR PLANNING
主宰 
1971年生まれ

 

 

 

 

 

 

越川洋平  (コシカワヨウヘイ)越川
株式会社オーブインターナショナル  
代表取締役
1972年 生まれ

 

 

 

 

 

 

福澤涼   (フクザワリョウ)福澤
ウォールデザインオフィス ハピヲル 
代表
1974年生まれ

 

 

 

 

 

三宅利佳  (ミヤケリカ)三宅
jay blue インテリアコーディネート/2級建築士事務所 
1971年生まれ

 

 

 

 

 

編集後記)

わりとギリギリ?にお話をいただいたこのトークセッション企画。事前の打ち合わせは1度だけ。何を話したら良いだろうか・・・「現在・過去・未来」っていうのはどう?と、切り口を見つけてくれたのが越川さんでした。与えらえた40分間、短い時間なりに面白い内容になったのではと思います。10年後ここを振り返ったときに「あはっ、青臭いこと言ってたなぁ」って笑えるようこれからの10年をしっかり歩いていこう!なんてね、ちょっと立ち止まって考えるいい機会になりました。

つーかですね、壇上の椅子がハイスツールだったもんで「うっ・・・まじか・・・パンツ見えないようにしなきゃ!」と、ひたすらひざをとじておくことに集中した40分でした(なんだそりゃw)

 

楽しませていただきました!

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