Views: 32

映画:『ヘルタースケルター』より
蜷川実花プロデュース

えろかっこいい

【エロかっこいい】とは、「エロティック(官能的)」かつ「かっこいい(洗練されていてクール)」という印象を同時に持ち合わせるスタイルを指した、造語表現です。2004年にアーティストの倖田來未(こうだくみ)さんが、”キューティハニー』みたいな、セクシーなファッションをして踊るアーティストがいなかったので、この路線でいこう!“と、自らをブランディングし、それを【エロかっこいい】路線と表現していたことで知られていますが、このようにもともとはファッションや音楽、アートの領域で、セクシーさとスタイリッシュさを兼ね備えた雰囲気を示す言葉として使われてきましたが、近年はインテリアデザインの分野でも取り入れられている言葉です。

恋が発展しそうなBARの雰囲気、気分を高揚させるラグジュアリーな部屋、隠れ家や個室といった特別な空間など・・・【エロかっこいい】は大人っぽい要素を連想させる表現です。

エロかっこいい空間の例

妖艶なブルーと、深紅のバラ1輪のエントランス
HOTEL IL PALAZZO / ホテル イルパラッツォ – 公式サイト

インテリアで「エロかっこいい」を表現するには

素材:
ベルベットやサテンなど、肌触りがよく官能的な質感のファブリックや、黒・深紅・ダークネイビーといったダークトーンをアクセントに用いることで、ミステリアスで刺激的な雰囲気を演出

照明:
部屋に陰影を生むムーディなライティング・間接照明を用いることで、艶めく空気感を生み出す

アートピースやオブジェ:
感性を刺激するアートワークや、曲線的でエレガントなラインをもつ家具、メタリックな装飾アイテムなど、視覚的に「色気」を感じさせる要素を散りばめる

対照的な組み合わせ:
ソフトなテクスチャーとハードなマテリアル、マットな質感と光沢のある仕上げなど、正反対の要素を大胆に掛け合わせ、視覚的な緊張感やドラマ性を生み出す

相反する要素のスタイル

【エロかっこいい】は、少し女性的な印象の「エロ」と、やや男性的な印象の「かっこいい」という言葉をくっつけています。似た言葉として「エレガントモダン(通称:エレモダ)」があげられます。このほかにも、インテリアデザインの世界では、相反する要素や異なるテイストを組み合わせて独特の魅力を生み出すスタイル用語が数多く見られます。いくつかの例を挙げます。


シャビーシック(Shabby Chic)
「シャビー(古びた)」×「シック(洗練)」
経年劣化やアンティーク調の家具を取り入れながらも、全体としては上品で優雅な雰囲気を演出するスタイル

ヴィンテージモダン(Vintage Modern)
「ヴィンテージ(古典的・レトロ)」×「モダン(現代的)」
レトロなアイテムやアンティーク家具を、シンプルでモダンな背景・レイアウトの中で際立たせるデザイン

グランドミレニアル(Grandmillennial)
ミレニアル世代(20~30歳)の若い人が、あえてグランドマザー(おばあちゃん)風の古いスタイルにするデザイン

インダストリアルシック(Industrial Chic):
「インダストリアル(工業的・無骨)」×「シック(洗練)」
コンクリート、金属、レンガ壁などハードな素材感を残しつつ、洗練された照明やアートで都会的な上質感を与えるスタイル

【エロかっこいい】をはじめ、相反要素の融合をさせたこれらのスタイルは、ありきたりなカテゴリには収まらない独特の個性やバランス感を生み出し、空間へ新鮮な魅力をもたらします。