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第4回 アート・ケイ ●後藤浩明氏

三宅:後藤さん。こないだはありがとうございました(※1)
一緒にお仕事が出来てうれしいです。

後藤:こちらこそありがとうございました。
現場・お客様と直接お会い出来たり、楽しい仕事が出来てとっても良かったです。
普段は工場に籠もりっきりなので、新鮮でした。
お客様の顔が見えるってやっぱり良いです。

三宅:さてそんなわけでクロスポイント第4回目のゲストです。
まず最初にこれは皆さんに聞いてるんですが、初対面の人に自分の職業ってどのように説明をしますか?という質問から。

後藤:布物室内装飾、カーテンとか縫ってます。あ、普通のカーテン縫製屋です・・・。

三宅:「カーテンショップ」お店ではなくて、「縫う人」ですね。後藤さんは、縫製屋さんの中でもどちらかというとアーティスト寄り・・・っていう芸術的な作品のイメージが強いのですが、意識していますか?

後藤:まったく意識していませんよ。
そもそもこのクロスポイントにボクが出る事が・・・(冷汗
あ、で、公に出る仕事がアーティスト系のデザイナーさんのお仕事ですけれど・・・それが目立っているだけで。普段の仕事はコツコツと普通のカーテンをお仕立てしていますし、目指したい所は「1本綺麗に縫う」ですので。作品といっても、デザインされる方がいて、ボク・うちの会社はカタチにする事をお手伝いしているだけですし。

三宅:後藤さんをおもしろいなぁと思うのは、ご出身が農業大学卒業、っていう経歴。なんでまた、今は、カーテン縫ってんのって話。
話せば長くなります?まぁ長くてもいいんですが(笑)今日はちょっと改めて聞かせてもらえます?

後藤:高校は進学校だったのですが、いわゆる若気の至り・・・普通の競争社会を拒絶していて。ホントに若気の至り・・・学校を休んで、ぼーっとテレビを見ていたら途上国で井戸掘りのボランティアをやってる番組をやってて。

三宅:そういうテレビ見たことあります、私も。

後藤:それを見て「あーこういう仕事が良いわ」と。

三宅:・・・思っちゃいましたか(笑)

後藤:で、担任の先生に「井戸掘りに行きます」って言ったら「庭掘っとけ馬鹿野郎」と散々言われましたよ(笑)
で、協力隊に参加したいと思い、分野は先ずは食べること、農業の分野で、研究ではなく生産、と。そこで実践重視の学校ということで、農業大学校へ行きました。
大学じゃなくって大学校なんです。

三宅:なるほど、そうだったんですね。

後藤:文科省管轄じゃないので。そこは半日講義、午後から自分の圃場へ出て農作業。後にも先にもそんな学校へうちから行くヤツはお前だけだって、高校の卒業時には言われてましたね^^;

三宅:意外と異端児っていうね。

後藤:その頃は母親がカーテンの縫製を既にしていたのですが、内職に毛の生えた程度。継ぐとか以前の問題だったのですが、その後、年々取引先さんと従業員さん、ミシンと・・・借金が増えていて(笑)
企業として回り出してしまったので継ぐことにしました。

三宅:必要に迫られて、という感じでしょうか。

後藤:結局、人のためにというなら会社を回して従業員の生活の礎になるなら一緒だと思って。ボランティアへ行く、会社を経営する、これは手段であって、根は一緒のつもりです。カナリ端折ってこんな所です・・・。

三宅:手短にご説明ありがとうございます(笑)後藤さんは、もし今と違う職業を選ぶとしたら何になりたいとか、ありますか?これも皆にする質問。

後藤:壁紙屋本舗さんのスタッフになってメルマガのネタになる。か、お百姓さん。

三宅:今度こそお百姓さんね♪で、その、メルマガのネタっていうのはなんなんでしょう?

後藤:本舗さん(※2)のメルマガ最高に面白いんですよ。
今経理がアツい、領収書プレイの話とか最高です。福家さんのファンです(笑)

三宅:へぇ、あとで見てみます♪メルマガのネタ・・はともかくとして、お百姓さんにしても、今の後藤さんの生活や能力からかけ離れていない、というか。それってけっこう今のご自身の立ち位置まんざらでもないぞっていう充実感の表れ?と思ったのですが。
私なんかは、ジャズピアニストか作家という職業に憧れたりするんですよ。どっちにしてもイメージとしては「何かに属さない」っていうスタイルなんですけれど(笑)
ちなみに前回このクロスポイントにご登場いただいた中嶋氏は「値切られない、腕のいい、職人さんになりたい!」っておっしゃってました(笑)あれ、もしかしたら後藤さんをイメージしてお話になったのかなぁなんて私は勝手に受け取っていたのですが。

後藤:仕事の内容、お取引先様によっては・・・厳しいものですよ^^;;;;
普通の縫製屋ですから、、、ホントに。充実感は、お陰様でたしかにあります。今はネットがあってダイレクトに皆さんの反応を受けられますし。でも神様に「人生やり直しさせたげる」て言われても「概ね一緒でいいよー」と言える。幸せって肯定する事だと思いますし。

三宅:おぉ、いい言葉ですね!

後藤:幸せでありたい。気分だけでも(←小声)欲が無いと取られないような生き方だけ気をつけて・・・

三宅:幸せである。そして欲はあるぞ、と、そういうことですね。
そうそう、これは以前後藤さんがつぶやいていた言葉なんだけれど。
「ボクは請負の縫製屋なので自分の色を持ちません。
まっさらの状態でオーダーする側の色に染まる。
消しては染まるの繰り返し」

っていうのと、

「出る杭は打たれないよ、出た杭だけが、そこを抜け出し、次に進めるんだよ!」

っていう話。この2つとても印象に残っているんです。ちょっとかっこよくないですか、これ、もうちょっと掘り下げてみたいんですが。

後藤:えええ。染まるの話は、他の方がデザインした物、請け負った縫製の部分に自分の色を足しちゃマズイじゃないですか。このデザイン○○さんっぽい、という印象を自然に再現しなきゃと。作るときに毎回○○さんを自分に憑依させるつもりで(笑)

三宅:ふむふむ。

後藤:他の業種で例えるなら、自分は翻訳家だとかそういった類いのものだと思っています。

三宅:なんかわかるような。でも、翻訳家って・・・黒子になってるつもりでも、けっこう自分の色出ちゃってますけどね、っていう(笑)

後藤:普段の仕事を全く受けたことが無い初めての方とイキナリ展示会ぶっつけ本番で組んだ時なんかは、デザイン画が上がってくる迄に過去のブログを1から全て読み直しましたよ。5年分の記事を全て読んで、気になった写真はダウンロードして保存、見直しと。そんな事もしました。

三宅:徹底的情報収集。

後藤:ブログってかなり良いんですよ。デザインする人の「色」が良くわかる。線や配色だけでなく、その人自身のお人柄、そういう意味での色がわかりますから。もちろん実際にお話するのが一番ですけれど、とはいえ現実的にブログ5年分のお話を聞く時間は無いですしね。

三宅:確かに。

後藤:三宅さんからお仕事の話を頂いた時、良いですよって言えたのも、ブログやfacebookでお人柄がわかっていたから。きっと三宅さんのお客様もそうして「わかっている」んだと思います。

三宅:そうかもしれません。

後藤:出た杭だけが~の話はね、社会の構造・考え方が昔と変わってしまっていますから。今に合わせて変えても良いんじゃ無いかな、と。もちろん倫理原則は押さえつつ、で。考え方のベースになっているのは農業時代の話、アメリカなんですけれど、とっても記憶に残っている事があって。

三宅:どんな事です?

後藤:ちょっとこの写真見てください。
写真の中央に写っているバス、スクールバスの払い下げでボロボロ。そして「何日に○○人用意して~」と電話1本でやってくる日雇い労働者。場所はメキシコの国境まで1時間の所。彼らはメキシコからやってきてる。

三宅:へぇ~。

後藤:畑に列んでる白いのはアイスクリームのカップ。植えたばかりの苗に霜よけで被せてるんです。ただただひたすら。”抜け出さなきゃ”あのバスに揺られて畑から畑へ。単純作業が一生。

三宅:アイスクリームのカップをかぶせ続ける一生。ここから抜け出さなきゃ!・・・・か。

後藤:写真に写っている多数のワーカーとそれを連れてくる1人の仲介人。両方メキシコ人、その違いはなんだったんだろう?って。

三宅:うんうん。

後藤:何かのチャンス、ボスに話掛けられた時に英語が話せる事をアピールするとか機械がトラブった時に対処するだとか、何が起きるかはわからないけど、何かの拍子に。瞬間、突発に起きる些細なチャンス、キッカケを生かすか逃がすかでその後の生活がガラリと変わる。そんな単純で過酷、自然な世界を見てきたので。そこからあんなセリフが出てきてるんです。

三宅:その経験があっての「出る杭は打たれない!出た杭だけが、そこを抜け出し、次に進める」・・・だったんですね。いや、けっこういい話、これ。

後藤:前の話、充実感の話と逆の事を話しだすようなのですが・・・変わらない毎日でも、肯定と無関心では全く違うと想うんです。意識するかしないか、ですかね。

三宅:なんか哲学的になってきました。そういう話は大好きです(笑)

後藤:笑顔で「仕事終わらせて酒飲めりゃサイコー」って言われれば、それも幸せですし。ややこしい話なんですが・・・

三宅:単なるジンクスというかゲン担ぎというか、後藤さん、そういうのはありますか?

後藤:一応ヒゲを生やしてから「大きな仕事が来るのでこのヒゲで」と言っていますが、実はそれほど。

三宅:無理やり、的な感じですね(笑)

後藤:拝む願うのはヨボヨボになってから。動けるヤツは動け。そんな神頼み反対派ですが、ご先祖様に近況報告は心がけていますよ。

三宅:今年40歳になられるんですよね。1974年生まれ?何か節目のようなものを意識してお仕事をされているようにこちらは感じ取っているんですが。

後藤:そう、1974年生まれです。今の仕事に就くまでに色々な仕事・世界にいて、その全てを捨てて来ていますから。カタチにしないと、過去全てが無駄になりそうで・・・今を作る事で過去捨てて来た事に価値を、と。20代に頂いた皆さんのご恩を全て捨てて30代、今縫製業になっているので。丁度節目で今ここまで来られて。昔、色々な方々に頂いたご恩にも「お陰様で」と素直に言えるかな、と。今、しょうも無い生き様だったら「お陰様」って言えないじゃ無いですか。・・・・って、なんだか硬っ苦しい話ばっかりですねぇ、ほんと、ごめんなさいごめんなさい。

三宅:いえ、いい話だと思います。てか、後藤さんらしいような(笑)

後藤:難しいデザインも単純に考えるからカタチに出来るのかも。不器用なんですよ、ほんとは(笑)

三宅:後藤さんの会社アートケイさんは、お母様がいま、社長さん。ちなみに全然話とびますけれど「おふくろの味」っていうと?

後藤:やたら濃い赤だしのお味噌汁。親父が田舎育ちで・・・ボクは薄好きです。(苦笑

三宅:赤だしのお味噌汁~。関東の人間なので赤だしの味噌汁といえば旅行先とか料亭とか、私にとってはなんかそういう「特別感」のある憧れの味。
そうだ、何か印象的な食事風景を一つ教えてもらえますか~。

後藤:そりゃやっぱり奥さんネタになりますが、ここは読んで下さる読者様へちょっとでも役に立つかもという話で青山のCasitaでの食事でしょうか。オーナーは接客に関するビジネス書で有名な方。サプライズで誕生日を祝って下さいました。ボクより全くもって年上立場上の方との御食事だったのですが。

三宅:後藤さんのお誕生日?

後藤:そうでした。イニシャルが刺繍されたナプキンとか。「本日ご用意させて頂きましたシャンパンの銘柄は~」と出てきたのが自分の名前が印刷されたボトルだったりとか。

三宅:それはうれしい♪

後藤:お店やオーナーの著書には賛否両論ありますがサービス・お客様への対応を考えるとき、ヒントの1つになると思います。

三宅:なんの仕事もそうだと思います。言われたことしかやらないのと、お客様が想定していなかったその先のサービスがあるのとでは、全然違いますよね。インテリアでいえば、うーんと、例えば「え、そこまで養生してくれるの」とかひとつとっても、お客様の想定を超えたところで何かをやると、そこには高い満足感と感動が生まれるような気がします。

後藤:まさにそんな話が本に書いてありました。私たちの業界ってモノを扱ってはいますが、購入までのやり取り、お客様と接している時間はかなり長いですし。レストランやホテルよりも接客大変かもですよね。私は製造側なので、なるべくその負担が軽くなるお手伝いが出来れば、なんて考えたりもしています。

三宅:先日後藤さんに縫製と取り付けをしていただいたお客様のところ。納品に全然無関係の、お客様のおうちのカーテンのほつれをみつけてその場でミシンをお借りして直してあげたっていう、あのエピソード(※3)も、言ってみればお客様にとってはサプライズ・サービスでした。
あぁいうのは、結局いつも「どこを見て仕事をしているか」っていうのが無意識といえども自然と出るんじゃないかなぁって思ったりします。言われたものを納めればいいや、という立ち位置なのか「空間」というものに対しての高いモチベーションをもっている人なのか、とか。
なんかそういう。

後藤:農業時代の習慣で、全体と詳細の見方はかなり神経質かも。例えば広い農場の中でいち早くアブラムシを見つけなきゃとか。

三宅:広い農場で見つける、アブラムシ!

後藤:訓練の賜物です(笑)

三宅:あの時のブログにも書きましたが、後藤さん、手がキレイなんですよ。手がキレイって言われるのは・・・どうなんでしょう?

後藤:手先の仕事で装飾関係ですから、とっても光栄です。でも全く綺麗だとは思っていなかったのでビックリです。手のひらが大きく寸胴な指、典型的な百姓の手ですよ・・・農業に従事していた時は、「土や草のアクがシワの奥まで染みついた、この汚い手を格好良く見せるために」なんて事考えてたんですけれど・・・ えらく遠いところへ来たもんだと感慨深く思いました。

三宅:そういわれれば・・・確かに「繊細」なモデルのような細さはないですよね、でも、すごくきれいな印象をうけたんですよね。あんまりいうと、会う人会う人、後藤さんの手ばかり見るようになったりして、ハードルあげてますこれ?(笑)
何か日課にしていることはありますか。

後藤:ぬうねるあそぶ、です。

三宅:いつも縫ってんの。

後藤:あそぶの内容は・・・PinterestやFacebookの海外インテリア、服飾関係を眺めてますハイ。

三宅:趣味イコール仕事、の人ですね。私もそうですけど。

後藤:あ、あとジェイブルーさんのブログは毎日チェックしています、日課ですドーモドーモ。

三宅:今、とってつけたように言いましたね。

後藤:(バレタ)・・・真面目な話、後発なので一日に使う時間を増やさなきゃみんなに追いつけないだけです。。。

三宅:後藤さん、失敗談はありますか?

後藤:仕事なら、納品間際の展示会の作品一個思いっきり表裏逆で作り・・・死ぬほど忙しい時に同じ物を2回作ったことがありますよ。

三宅:何縫ってたんですか。

後藤:2011年のトーソーウィズカーテン(※4)で縫製を担当したときに。デザインはdecorators(※5)のお二人。パーツ毎に生地を変えて作る作品が多い中、その作品に限って色々と同じ生地で、ごっそり作り直し(苦笑)

三宅:ごっそり・・・ね。

後藤:この写真の作品、ピンクの部分全部。 ヒデキさん、「これはこれでありだし、デザインだって言うからok」って言って下さったんですけれど・・・そこは生地を作ってくれた方も含め皆さん全てにもうしわけないので作り直しました。責任を共有してくれるからがんばろって。天の邪鬼なのかも知れません。もちろん作り直すのは当たり前なのですが、アンタどうしてくれるのよって言う人とは、ちょっと・・・。その後の展示会も色々手掛けさせて頂きましたが、徹夜上等で本気出す気にはなれなくなります。逃げるつもりの人とは一緒に戦えないですから。そのボクのミスの対応を見て、その後のボクの腹の括り方が変わりましたね。責任を取れる「覚悟」があるから、ボクも本気になれる。仕事に対して真剣勝負が出来ます。

三宅:見習いたいと思います・・・。

後藤:仕事以外なら、アメリカで泥棒と間違えられて警察に生で「FREEZE!」言われました。向けられたのは、ピストルではなくショットガン。

三宅:それ、失敗というよりは・・・。

後藤:向こうって、警備会社じゃなくヤバイのを持った警察がイキナリ来る。それも必ず2名以上。サービス満点なセキュリティです・・・(笑)あ、そうそう、こんなイメージですよ写真。

まぁ、休日に会社に行って、セキュリティの解除失敗したんです。コードの変更聞かされていなかったという・・・前日か翌日にやれば良い事を休日にやろうとした。判断、行動の選択を失敗、自分の責任ですねぇ。。。

三宅:後藤さん、10年後、どんな形でいたいですか?

後藤:変化しない事も幸せ。そもそもほんの数世代前は一生畑を耕して、村から一歩も出ず終わりというのも当たり前でしたし。このままで良いですよ。

三宅:このままで良い、とかいいながらどんどん高いところに飛び移っていくのが、後藤さんなのよね・・・・。そこは・・・その言葉、信用しません(笑)

後藤:出来る事を精一杯全力でやっていくだけですよ。一歩一歩。10年後も同じ気持ちでやっていきたいという意味もあり、で。^^;;;

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※1・・・「こないだはありがとうございました」の話は、ブログの過去記事にてお楽しみください https://jay-blue.com/blog/8285

※2・・・「本舗さん」 
壁紙屋本舗 大阪を拠点に、日本全国に輸入壁紙販売のショールームを展開している。セルフリフォームを応援する壁紙のネット販売など。

※3・・・「あのエピソード」の話は、ブログの過去記事にてお楽しみください
https://jay-blue.com/blog/8317

※4・・・「トーソーウィズカーテン」
カーテンレールメーカー、TOSOが主催する、窓周りファブリックスメーカーの合同発表会。いろいろな技術や商品についての情報交換をする、業界プロ向けの場。

※5・・・「decoratorsのお二人」
大阪でDECORATORSというカーテンショップを経営している西垣ヒデキ氏と、その奥様SHIOさんのこと。独創的なデザインを売りに数々の賞を総ナメしていく、とくにヒデキさんは金髪で業界有名人。後藤さんはその「ぶっとんだデザイン」の縫製を担当している。

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後藤浩明(ゴトウ ヒロアキ)氏 

㈲art-K 専務取締役

普段漠然と考えている事を、インタビュー形式でお応えしているうちに、より深く考え直してみたり。
自分にとってとっても良い機会となりました。
ありがとうございます。

・・・オチが無くてごめんなさい。

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<編集後記>

私が後藤さんに初めてお会いしたときのエピソード。

待ち合わせ合わせをした駅の改札口。ほんの少し「時間の空白」が出来ました。
喫茶店に入るほどの時間はなく、かといって、すぐここを出発して目的地に向かうにはまだ早い。ほんのちょっと、ほんの5分~10分だけ、ここで2人で時間をつぶさなきゃいけないという場面。

後藤さんが案内してくれたのは、岐阜駅のファッションライブラリー。
「ここはライブラリーなんです。デザイン書とか、きれいな生地の本とか、ファッションにまつわる本が集められているスペースなんです。服飾関係なんだけれど・・・縫製のヒントがたくさんあって。割と好きで、時々僕はここに来るんです」

そういって、フラーっとライブラリーに吸い込まれていった後藤さん。
そのあとを私もついていきました。

ピッタリ並ぶのも変だよなぁと思いまして、後藤さんがいるところから少し離れたところに行きました。カラーコーディネートの本を見つけパラパラとめくってはみましたがチラリチラリと後藤さんの後ろ姿を確認して、実は本の内容はひとっつも頭に入ってきていませんでした。なんだか、高校生のデートのような気分を味わいました(笑)

あのすさまじい緊張感はいったいなんだったのでしょう、という「初めまして」の出会いでした。

後藤さんは、ある意味ストイックな人だと思う。
オチャメな部分がたーくさんあるのに、なぜかこちらは少し緊張させられる。
つねに自問自答を繰り返しているのではないかという、そのチラリと感じさせる緊張感は、後藤さんのまわりの空気を透明に魅せている。

何かを越え続けようとする人、だと思う。

2014.7
(写真を撮り損ねまして・・・いろいろご本人にご提供いただきました)

 

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